◆移動キッチンカー研究会の実施報告 『安全安心な食品営業』◆ 平成25年11月11日

2013年12月18日

オフィス街では、昼休みになると一斉に大勢の人が飲食店に流れ込み、一時的に「昼食難民」という現象が起こります。飲食店の数と、客数のバランスが崩れてしまうのです。また、大都市郊外やかつてのニュータウンで車に乗らない高齢者を中心に生じている課題として「買い物難民」があります。このような背景のもと、初期投資が少なく、また移動して需要のある場所で販売できる移動販売車が注目を浴びています。

移動販売には、「自動車」「行商」「引車」の三種類がありますが、近年、「行商」と「引車」にはルールが厳格化してきています。衛生管理や温度管理がずさんになりやすく、実際に東京都中央区で細菌検査を行った結果、4分の1が基準に達していなかったと言います。東京都では2013年4月に「路上弁当販売に係る検討会」を発足させ、弁当等の食品の販売に関して、安全性を適切に確保するための合理的な規制の在り方について検討が行われています。

11月11日のセミナーでは、株式会社阪急クオリティーサポート取締役専務執行役員 食品検査センター長 廿日出芳雄氏より、移動販売車での応用が可能な露店や屋台における食品営業の衛生上の留意点のお話を伺いました。

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営業許可と衛生基準

営業許可は、販売のみか、飲食店扱いのものなのかによってまずは大別されますが、その飲食店の中でも「固定施設」、「臨時施設(百貨店などの物産展など)」、「自動車」、「露店」によってそれぞれの営業許可が必要となり、許可の内容が異なります。

2013 11 配布用  露店・自動車飲食店 食品事故予防と危機管理

臨時施設として分類される物産展の場合、イベントなどが始まる前に担当者が保健所に出向き、設備などの相談を行います。自動車においても同様で、調理設備などの図面を引き、事前に保健所に見てもらいます。もちろん許可をいただくための訪問ではありますが、保健所にとっては市民の安全を守るためのものとなりますので、「面倒だ」と考えるのではなくアドバイスはなるべく聞いていただきたいと思います。

規格が合えば営業許可をいただく事ができますが、自動車の場合一回取得すると、5,6年の有効期間があります。その間、物産展などでは初日に保健所からの訪問を必ず受けますが、自動車の場合は、取得後はほとんどありません。「一端許可が下りてしまえば何をやっても…」、と考えるのではなく、安全な営業ができるよう、守るべきことは守ってほしいと思っています。

食中毒などの健康に関する問題が起こった場合、保健所が状況調査にやってきます。問題が発覚すると、再発防止策の指導を含めて行政処分を受けることになります。

表示に関して

営業許可に他にも、食品衛生に関わる法令があります。加工食品などは、営業許可が必要でないかわりに、品質表示が義務付けられています。表示に関しては消費者庁が管轄となっていますが、現場調査、現場指導などは農林水産省や都道府県で行われます。

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飲食店扱いのものにおいて品質表示が義務付けられているわけではありませんが、そのかわりに一旦表示をしてしまうと、表示が正しいかどうかは問われることになります。つまり、義務付けられていないにも関わらず表示し、それが間違っていたら処罰の対象となります。

その中でも見落としがちなものは、イベントのコンセプトに関わる場合です。例えば「●●県のイベント」に参加した場合、消費者に誤解のないようにしなければなりません。

 

「焼き鳥」の事例から

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この事業者の場合、こちらの写真でもわかるように、材料は既に串にさした状態となっています。営業許可を取る時点で、包丁の使用を許可されていません。許可されているのは、炭火で焼くことだけです。また、トレーを洗う事もできません。従って、その時に必要となる枚数を予め容易する必要があります。何枚必要かなどは、天候やイベント規模などにより、経験と勘が必要となる部分です。

リスク回避のためには、焼き鳥を焼いた後の衛生的な確保が大切となります。病原菌が入らないか、照明などで傷まないか、置きっぱなしになっていないか。法律上は放置の時間に対する規制はありませんが、食中毒を起こしてしまっては元も子もありません。ちなみにこの事業者はマスクをしています。義務付けられていませんが、自分の病原菌をふせぐために自主的に行っているのだと思います。

アレルギーの自主表示があります。間違っているリスクを冒してまで表示するのは、意識の高さを示していますが、今、消費者に対してそのようなサービスも必要になってきているというのも事実です。

この事業者にヒアリングを行いました。
<焼いたあと、もし残ってしまったら?> 捨てます。
<串のままのこってしまったら?> 干からび具合を見て処分します。
彼らは、余ってしまっても、生串を販売することはできません。販売する場合には、食肉販売業の許可が必要となります。
<どのような食中毒が起こる?> ノロウイルスやサルモネラ菌
厚生労働省で調べると、鶏肉で起こりうる食中毒は、(1)ノロウイルス、(2)カンピロバクター、(3)サルモネラ菌となっています。
<リスク営業保険に入っている?> 入っています。
<業界同士の情報交換は行っている?> いません。

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この事業者は飲食店(露店)の営業許可を取得しています。実際に営業には、衛生責任者の資格を持つ人が一人必要となります。

百貨店などでは、催事の前には事業者にヒアリングを行います。しかし、それを鵜呑みにするのではなく、百貨店側である程度のルールを設けて、そのルールに則って指導をおこなっていきます。下はおにぎり販売の事例ですが、細かくチェック項目を設けています。
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安全安心のポイントとしては、狭い場所での営業は特に不衛生になりやすいので、いかに作業をシンプルにするかということになります。食品の保管の仕方、食器の管理など。保健所からは、販売用の食器は使い捨てにするようにという指示が出されます。

一般営業、自動車営業、露店営業の法令(大阪市の場合)

大阪市の法令を見ると、一般営業、自動車での営業、露店営業となるにつれて、規制が緩和されていることがわかります。

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一般営業では水をどんどん使える状況でなければなりません。シンクも二層が求められます。自動車においては、手洗いはアルコール消毒でも可能な場合があります。それぞれの生業が成り立つための配慮として、このような状況になっているのではないかと思いますが、自治体によってその基準はかわります。

安全安心な食品営業のために

安全安心な食品営業のためのポイントが、いくつかあります。
(1)食品を扱う人の衛生管理
手洗いは、手首、肘など、作業内容によってしっかりと洗うことが大切です。爪ブラシ、ペーパータオル、消毒液、ゴミ箱の準備も必要です。同じシンクで食器などを洗うことはできません。

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本人が病原菌を持つケースもあるので、検査をして安全かを確認することも大切です。学校給食を取り扱う人は年12回検査を行っており、それが一つの基準といえます。

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(2)食材の管理
冷蔵庫の中での食品の置き方も衛生面では大切です。肉や魚などは菌を持っている可能性があるので、特に置き方には注意することが望まれます。

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また、一度解凍した冷凍食品は、自分で商品管理のルールを定める必要があります。メーカーは一度解凍したものの保障はしてくれないでしょうから。

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(3)作業場への危険なものの持ち込み禁止
予期せぬ事故を防ぐため、持ち込み禁止物を定めておくと良いと思います。百貨店などでは、鉛筆、ホチキス、クリップ、画鋲、歯の折れるカッターの持ち込み禁止をしています。

また、洗浄剤や殺菌剤など、本当に作業現場へ持ち込むべきかをよく検討して判断するものもあります。調理に間違えて使用してしまうケースもありますので、詰め替え容器には必ず名前を入れるなどの徹底が必要です。

衛生面に関しては、アルコールスプレーなどで手を殺菌します。きれいな服装とマスクや帽子を着用します。販売品目によってどのような食中毒が多いか、調べておくことも大切です。