シェフのたまごを育成する ~納涼シェフ交流会2013にて

2013年9月24日

9月4日、電化厨房機器が完備している関西電力株式会社の電気利用技術センター『エルテック』において、料理王国主催『納涼シェフ交流会2013』が開催されました。参加者は和・イタリアン・フレンチのトップシェフによるデモンストレーションを間近に見られる機会を得、料理人、レストラン業界、食品・食材メーカーの交流の場となりました。

有名シェフのサポートとして今回の裏舞台を支えたのは、神戸国際調理製菓専門学校/育成調理師専門学校、そして大阪城南女子短期大学の合計6名の学生達。

人材教育を応援するケルククラブでは、調理に携わる人材輩出に力をいれるこの二校に焦点をあて、取材を行いました。

 

納涼シェフ交流会2013の開催概要報告

10時にスタートした納涼シェフ交流会。会場には、穀物類やナッツ、ごま油、ブランディや日本酒、コーヒー、地域の食材で作った料理等のブースが立ち並び、それらの出展者に質問をなげかけるシェフたちの姿もたくさん見かけられました。

11時からはポンテベッキオの山根大助シェフ、13時から瓢亭の髙橋義弘若主人、15時からはル セットの依田秀敏シェフのデモンストレーション。有名三シェフによる軽妙なトークや手際のよい調理に、会場は大いに盛り上がりました。

今回、そのような盛り上がりの中、調理補助や試食の配膳手伝いを行ったのが、神戸国際調理製菓専門学校/育成調理師専門学校、そして大阪城南女子短期大学の合計6名の学生達でした。彼らは将来の料理人を目指して、あるいは料理を活かした社会との接点を目指して、間近でプロの技術、動き、気遣いを体感しました。「交流会での経験を通して、学校では教えられない社会や業界のルール、そして厳しさを体験し、自分たちの将来の夢に役立ててほしい・・・」。両校の思いは同じだったようです。

 

神戸国際調理製菓専門学校/育成調理師専門学校

60年の歴史を持つ「育成調理師専門学校」、国際的な提携を強化することを目指して30年前に設立された「神戸国際調理製菓専門学校」。両校を合わせて年間約300名の学生を輩出しています。「確かな技術、豊かな教養を身に付けた調理師、製菓衛生師の養成」に力を注ぐ両校の理事長兼学校長である植木砂織氏にお話しを伺いました。

『学生の夢』と『業界の要望』のかけはしとなる事をめざして

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「当校へ入学してくる学生達はそれぞれの夢を持って入学してきますし、業界は業界で必要な人材の要望を持っています。時代と共に価値観やニーズも変化しますが、それらに対応し、両者をつなぐかけはしとなることが、私たちの使命だと思っています」と語る植木理事長。その両者をつなぐかけはしとなるために、学校は学生達に様々な機会を提供しています。

そのような学校の理念が、「確かな技術、豊かな教養」という言葉に表れています。良い調理人に育てるためには、技術のみならず、それを裏付ける教養が必要で、教養なくしては、ステップアップもままならないのです。加えて、社会人としてのマナーも学んでほしい。昨今、冷蔵庫やシンクに店員が入って騒いでいる写真がブログやツイッターに投稿されて話題となりましたが、改めて社会人としてのマナーや衛生観念を身につけてもらうことの大切さを感じたと言います。

近年では業界の括りも多様化しており、いわゆるレストランやホテルの調理師になる学生ばかりでなく、お弁当開発、介護/病院食、商品開発などで調理師のスキルを活かした職業に就くケースも増えています。学校側では、それらに柔軟に対応する努力もしています。企業研修なども積極的に行われています。

今回の交流会への参加については、「料理の技術や知識を吸収するだけでなく、料理人の情熱や考え方を肌で感じてもらいたい」ということでした。学校内では教えられないことがたくさんあります。例えば緊張感もその一つで、学校では許されるミスも、社会では許されない場合があるのです。

「学生たちは、就職したら目標を決めて自分で進んでいかなくてはいけないのです。」プロの厳しさの中から更に一歩進んでほしいという、理事長の学生に対する気持ちが込められた言葉でした。

更に植木理事長は「企業とは様々な情報交換をしながら、子供たちの成長を応援するバトンタッチをしていきたい」と語られました。学校では基礎力と柔軟さを併せ持った学生達を送り出すので、企業側はその子を更に輝やかせる新たな息吹を吹き込んでほしいということです。学校はこれまでも自らの施設を使いながら「親と子供の料理教室」などを開催してきましたが、これからも企業と連携して社会貢献もしていきながら、更に深く交流を持っていければ嬉しいと語られました。

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学生達が実際にお客様へスイーツを提供するカフェ。近所の方に安く提供される。無添加、新鮮な出来上がりが受けている。学生達には、お客の反応を見ながら作る喜びを知ってほしいという。調理スペースは電化厨房となっているため、清潔で、快適な空間での実演が可能となっている。
 

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調理スペシャリスト、製菓スペシャリストを目指す学生が学んでいる。ドイツ、イタリア、スペイン、中国等と提携を行いながら、海外研修も又積極的に進めている。

 

 「まずは尊敬する同級生に追いつき、追い越したい」と語ってくれた谷藤隼さん(二年)

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学校から機会を与えられて、フレンチレストランでアルバイトを始めました。そこで出会ったのが一年早く入学した同級生。今はだれよりも尊敬しています。そして、いつか追い抜きたい・・・。将来はフレンチの店を持ちたいです。しかし今は一歩一歩、着実に進んでいきたいと思っています。

 

 「フレンチの店で働きたい。海外で修業も!!」と語ってくれた稲岡祐真さん(二年)

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今日は有名シェフと一緒だったので緊張しました。アシスタントは、シェフがやってほしい事が的確にわかっていたので、自分も大いに学びました。フレンチレストランで働きたいという希望を持っています。いずれ、フランスでも修業したいです。それまで、しっかりと勉強していきます。

 

「サポートするシェフたちの対応の速さに驚き!!」と語ってくれた原田礼輝さん(二年)

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有名シェフのサポートを行って、見られていることに緊張感を感じました。驚いたのは、アシスタントシェフはもちろんのこと、周りで見学しているシェフもヘルプする場面があり、その時の対応の速さです。臨機応変な対応が必要であることを改めて感じました。西洋料理のシェフを目指してがんばります。

 

大阪城南女子短期大学

「やがて女性も社会の第一線で活躍する時代が来る」という創立者の夢を受け継ぎ、約40年の2年制女子大学としての伝統を築いてきました。礼法や日本語教育にも力をいれ、品格ある女性と特色・個性ある専門職の育成を目指しています。今回はその中の「現代生活学科」の学生達が有名シェフのサポートに参加してくれました。現代生活学科 副手の山口清香先生にお話しを伺いました。

将来を通して活躍できる女性の育成を目指して

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「自主自律」、「清和気品」。大阪城南女子短期大学の目指すものは、この二つに集約されます。自主自立の精神と清和気品を備えた女性を育てること。これは、将来を通して女性が活かされることを見据えて考えられたのだそうです。

学校は、「総合保育学科」「人間福祉学科」「現代生活学科」があり、今回は「現代生活学科」で調理コースを専攻する学生達が参加してくれました。特徴は、この調理コースを専攻する学生は、調理師免許の他に総合的に活躍できるために医療関係、秘書などの資格を取得することができることにあると言います。

このように総合的に学習した学生は、ホテルやレストランの調理師を目指しているとは限らず、女性の特徴が活かされるような保育園や介護施設の中の調理関係を目指す学生も多くいます。

専門調理の学習に関しては、外部からシェフを招へいし、和・洋・中の様々なジャンルのシェフの実習を学ぶことができます。少人数の環境なので、参加しながらしっかりと学んで行けることも特徴だと言います。レストランなどへ出向く実習は年30回程度、今回のような地域イベントにも積極的に参加されています。

今回の交流会への参加に向けて、山口先生からは「学生にとっては全てが学び」と語られました。学生達には来る前に次にように話されたそうです。「今回は来場者も全てプロのシェフ。アイドルタイムを縫って参加されています。現場の緊張感、シェフやアシスタントの動きを良く見てきてください。」

保育に携わりたい学生も多いという当コース。学生には保育現場の調理場への就職を勧めています。調理師免許の他に保育に関する免許取得の必要がなく、何よりも、食という料理の場で確実に信頼を得るから、とのことでした。

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現代生活学科では、時代の変化への柔軟な対応のみならず、自ら社会に対して積極的に提案できる優れた行動力と豊かな感性を備えた女性の育成を目指している。その実現のために、充実した専門科目と生活に必要な一般教養科目をバランスよく学ぶことができる。
 
学生

調理コース、製菓コースを受講できる「現代生活学科」では、実習を重視している。調理実習を2~3人の少人数のグループ体制で行うことで、学生達には積極的に取り組み、技術の向上を目指せる環境を提供している。
 

「子供が好き。幼稚園調理場のシェフになりたい」と語ってくれた枡田彩さん(二年)

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将来の夢は、保育園や幼稚園の調理師になることです。子供が好きなので、子供と関わる仕事につきたいと思った事が理由です。現在、保育園でアルバイトをしています。今日は、先取りで考え動いて行くシェフたちの動きが勉強になりました。夢に向けて、色々学んでいきたいと思います。

 

「料理を通じて、自分も成長できる職場で働きたい」と語ってくれた尾崎悠希さん(二年)

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今日は、指示されて失敗したらどうしようという緊張もありましたが、滅多にできない貴重な経験をさせていただきました。現在就職活動中ですが、保育園や幼稚園などの学校給食を希望しています。料理を通じて、自分も成長できるような職場で働きたいと思います。就職活動、がんばります。

 

「料理で人を笑顔にしたい、まずはそのための基本を」と語ってくれた神田里紗さん(一年)

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はっきりした夢は決まっていませんが、料理人の基礎は、料理で人を笑顔にする事だと考えています。将来は、高級で近づきにくいところより、色々な方に食べてもらえるようなところで調理したいです。子供がご飯を楽しみにしてくれている、病人が料理を楽しみにしてくれている、など。まずはそのための基本ができるようになりたいです。