◆移動キッチンカー研究会などの実施報告◆ 平成25年7月19日 (経済産業省近畿経済産業局の事業と共同開催)

2013年9月20日

7月19日、グランフロント大阪C棟7Fにある大阪イノベーションハブで、午前は移動キッチンカー研究会の説明会、午後からは経済産業省近畿経済産業局の平成25年度地域新産業戦略推進事業「スマートエネルギー活用ビジネスフォーラム」と共催で、関連するセミナーおよび「スマートモビリティシステムと次世代キッチンカー研究会」が開催されました。

このフォーラムは平成25年度地域新産業戦略推進事業として次世代のエレクトロニクスやエネルギーシステムの産学官連携のビジネスプラットフォームとして開催されるもので、来年の3月までを活動期間としています。

 

◇移動キッチンカー研究会の説明会

株式会社新産業文化創出研究所 所長 廣常啓一氏

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移動キッチンカーのビジネスモデルとして、新しい車両の活用について、株式会社新産業文化創出研究所 所長の廣常啓一氏より説明されました。

移動販売車として危険な取扱いをされている現状が紹介されながら、これからは次世代キッチンカーといわれるような安全な車両や、そのインフラを整備することも必要であることが語られました。移動キッチンカーの成功活用事例としては、東京フォーラムやサンケイビル前での昼食難民や賑わい創出、イベントでの活用、一流のホテル参入事例、東日本大震災での活躍、観光名所となっているNY事例、展開場所としては、万博公園ほか、スーパーの空き地や駐車場の可能性の紹介もされました。

次世代キッチンカー事業は、様々な業種、業界の参入が可能なビジネスモデルとなります。
1)屋台や車両を活用したフードサービスの実現
2)そのための車両や厨房、エネルギー供給システムの確立
3)展開場所の整備やユーザーの為の情報システムの整備
4)衛生や安全基準の確立、社会の認識や偏見の払拭
5)ビジネスとして成立する業態やメニュー、防災対策やCSR、宣伝機能
6)行政の取組みへの誘導、支援機関や関係機関とのネットワーク

次世代キッチンカーの実現によって、以下の4つを期待することができます。
1)地域の賑わい創出と都市観光、エリアマネジメント(まちづくり)、道路・未利用地有効活用、食の拠点形成。
2)食事困難地域
(オフィス街昼食対応、郊外高齢化団地、他)の課題対策とIT化。
3)新産業創出とベンチャー支援
(飲食事業、電気自動車、電化厨房、スマートコミュニティ、都市インフラ整備、未利用スペースの有効活用)。
4)災害対策
(災害地域支援、避難施設支援としての仮設食堂、厨房、衛生管理)。

移動キッチンカー研究会では、課題の整理をしながら、ニーズにあった次世代キッチンカーを検討していきます。

 

◇関連セミナー

「スマートモビリティの未来」
大阪市立大学 複合先端研究機構 特任教授 南 繁行 氏
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スマートモビリティを、ビジネスとしてどのように考えていくのが望ましいのか、南先生のご専門とされている電気自動車(EV)を例に上げながらお話していただきました。

EVには、静かで、車からは排ガスを出さない、振動がない等、優れた特質をもっています。それを適材適所的な使い方で生かすことが必要です。スマートモビリティに取り組むには、情報通信をエネルギーの消費制御に組み入れて、何をしたいかを広い視点でとらえ、その目的を明確に自覚することが大事です。

我国での商品としてのEVは高性能ですが、価格が高い。日本での車自体の消費が低迷しつつありますが、国際的には、自動車の大きな購買市場が存在します。ただ、低価格での需要が多いので、EVは、メーカ乱立も含め、既存の自動車産業は苦戦を強いられ、少量の高性能車と大量の低価格車の2極化した進展をするでしょう。それと同じく、スマートモビリティも将来はシステムの低価格化が進むでしょう。それに我が国の技術が対抗できるかどうかも重要です。

大量普及を考えないと、EVは脱石油に貢献しないことは明らかです。また、補助金がなくなった途端に普及が止まるようでは、商品として魅力に欠けます。これは、スマートモビリディでも言えることです。

EV産業に対する国家の普及施策の違いによって、発展する中国と、遅れをとりつつある日本とに、顕著な隔たりが出来つつあります。中国の5か年計画等で、新エネルギー車に投入してきた情熱と予算には只ならぬものがあり、成功してきています。

スマートエネルギーへの事業参入には、過去に、多くの企業がもうけを求めて、参入し、ブームだけで終わった他のプロジェクト市場の失敗に学ぶべきです。大きな投資と経営トップの理解や高い志が成功のカギになります。そして、蔓延する国際感覚の欠如や、日本の真の実力を過信してきた風土をなくすことも、家電等で我が国産業分野が下位に低迷することになった教訓として、将来にむかって重要なことです

EVに夢を見る時代は終わりました。EVに何が出来て、何が出来ないかを明確にし、スマートエネルギー時代の寵児として、貢献することへの自覚が、技術者一人一人にとっても、企業・行政にとっても必要な時期に来ています。国や自治体は、大きなプロジェクトをやる限りには、目先の数値目標だけではなく、長期にわたって責任をもって推進すべきです。

高い信念と技術力のある会社だけが、スマートエネルギーでも成功することをEVの経験を通してお話ししました。

 

◇経済産業省近畿経済産業局事業「スマートモビリティシステムと次世代キッチンカー研究会」概要説明

「次世代スマートキッチンカー開発&インフラ整備の概要」
新産業文化創出研究所 所長 廣常啓一氏
分科会の図

廣常氏からは共催で行われている経済産業省近畿経済産業局の平成25年度地域新産業戦略推進事業「スマートエネルギー活用ビジネスフォーラム」の中で開催される「スマートモビリティシステムと次世代キッチンカー研究会」の概要説明がありました。

この研究会では、世の中のニーズとシーズを、ビジネスモデルをコアとしてマッチングしていきます。プラットフォームを作ってセミナーや勉強会、ブレインストーミングを行っていきます。全体の説明会やセミナーは継続的に開催し、テーマごとの分科会、アライアンス促進や実証実験なども行いながら事業化を進めていきます。

次世代キッチンカーを導入するためにはインフラ整備が必要です。これは既成市街地のスマートエネルギー導入を進める一つの手段ともなります。そこで、既成市街地のスマートエネルギー導入の部分から次世代キッチンカーを製作するところまでを、大きく3つの分科会に分けて、事業化を目指して進めていきます。
1) 既成市街地のスマートエネルギー導入分科会
2) スマートモビリティシステムと国際展開EVプラットフォーム分科会
3) 次世代キッチンカーと情報システム分科会

『既成市街地のスマートエネルギー導入分科会』では、ビルオーナーがどのようなニーズに合わせてエネルギー、BEMSの導入を行うのか、あるいは再生エネルギーと系統電源とのベストミックスやそれらのエネルギーをどのように使うかなどを考えます。『スマートモビリティシステムと国際展開EVプラットフォーム分科会』では、スマートモビリティシステムとして、電源車や電気自動車などの移動車に電力を供給する仕組みや最適な使い方、EVプラットフォーム(シャーシ)の上に屋台や店舗を載せる仕組み考えます。『次世代キッチンカーと情報システム分科会』では、厨房の小型化や軽量化、情報システムによる適切な配車、スマートメータの導入による消費電力の把握などを検討していきます。同時に配車先の場所などを見つけ、マッチングをしていきます。

川上から川下までの様々な課題を解決するビジネスモデルとなります。

 

◇研究会プレゼンテーション1

『既成市街地のスマートエネルギー技術』
株式会社NTTファシリティーズ スマートビジネス部
(一般社団法人咲州・アジアスマートコミュニティ協議会 プロジェクト・マネージャー)
早川慶朗 氏
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早川氏からは同社の技術と、咲州でのスマートコミュニティ、そして次世代キッチンカーとの連動の可能性についてお話いただきました。

株式会社NTTファシリティーズは建築物・電力設備のコンサルティング、企画、設計、保守、維持管理などを行っています。次世代キッチンカー事業との様々な可能性として、同社の「ビルの見える化システム」と組み合わせることによる電力や上下水道の使用料の課金、また植物工場の管理システムと組み合わせることによるキッチンカーで販売される食材のトレーサビリティを可能にする新たな販売手法の確立、また急速充電器ほかの電気自動車への電力供給システムの確立などを紹介していただきました。

また次世代キッチンカーと組み合わせることによって、咲州地区のスマートコミュニティにおける省エネ・快適ビルの提案、NtoNによる新たな情報通信の様々な可能性もお話いただきました。

 

◇研究会プレゼンテーション2

『インホイールモーター技術と車両プラットフォーム』
NTN株式会社 商品化戦略部 主査 袴田博之氏

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NTN株式会社はベアリング、等速ジョイントなどを製造及び販売しており、自動車用途以外にも、産業機械向けとして風力発電、鉄道車両、建設機械、医療用、航空・宇宙関連など様々な分野で使われています。同社の手掛けるインホイールモーターは、タイヤを支えるハブベアリングや、ABSセンサ技術に基づきます。インホイールモーターの技術開発は、今後ガソリン車から電気自動車へ移行することを見据えて、同社では10年前より行われてきました。

インホイールモータのメリットは、①タイヤ内に必要な部品が収納されるためスペースができる、②タイヤのレイアウトを動かすことができる(設計の自由度が増す)、③タイヤごとに出力を調整でき、安定性を高めることができる、④横移動、回転などによってコンパクトな動きができる、などが挙げられます。

次世代キッチンカーは、縦列駐車なども容易にできるので、インホイールモータの一つの用途として大きな可能性があります。

 

◇研究会プレゼンテーション3

『キッチンカーの車両改造』
株式会社東京アールアンドデー
営業企画本部 グループリーダ 太田 秀隆氏
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太田氏からは、H22、23年の環境省からの委託事業として行ったトラックのEV化事業についてお話いただきました。

同社は自動車メーカーの研究用車両、ショーへの出展車を開発しています。電気自動車に関しては約30年の開発実績を持ちます。インホイールモータの設計と施工、電気バスなども開発しています。トラックのEV化事業に関しては、大量のCO2削減を目指すものとして開発しました。

「中古車を改造する」ことによるコストカット、またEVに必要な部品をキットとして売り出して、簡単に安く製造でき、普及できるものを目指しました。H23年には実際に『移動スーパー』として営業を行いました。現段階では、バッテリーが重いために、従来の車体よりも重いことが課題となっています。また、キットを使って自社以外の組み立て工場でも組み立てることに成功し、今年度は本格的なビジネス化に向けて活動予定です。

バッテリーの課題に対しては、移動先のインフラ整備が行われ、エネルギー供給できるようになることにより解決されるのでは、という期待も語られました。

 

◇研究会プレゼンテーション4

『次世代キッチンカーの位置確認』
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
科学システム事業部工ネルギービジネス推進部新工ネルギ一.開発課
児玉 浩徳氏

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児玉氏からは、スマートコミュニティの計画・設計から運用までを支援するクラウドサービス「E-PLSM(エプリズム)」を使った、事業者とコンシューマをつなぐ最適化シミュレーションシステムの紹介をしていただきました。

同社はIT系の受託開発を中心に行っている企業ですが、児玉氏の所属する科学システム事業部では、予測や最適化技術を中心のビジネスを行っています。20年前に気象予報として予測技術を使っていたことに始まります。そこをベースに、スマートコミュニティを支援するプラットフォーム「E-PLSM)」を二年前に開発しました。450のインターフェースを持ち、多様な情報収集が可能です。

EVの見える化にも活用できます。E-PLSMはワンプラットフォーム、マルチデバイスです。また見せ方を変えることによってマルチユースが可能となります。

移動キッチンカーでの使い方としては、天気予測による最適な配車や、マップ、ポスレジとの連動によって、コンシューマーに受け入れられやすいものを構築することができます。