◆第17回定例総会 講演会の報告◆平成25年4月24日 移動キッチンカーについて

2013年7月4日

平成25年度ケルククラブの総会のあと、本年度の重点項目の一つとして推進する予定の移動キッチンカー研究会の概要説明、及び移動販売車を制作/販売している株式会社ゼック様、実際にキッチンカー事業を取り組む給食産業の代表として富士産業株式会社様よりご講演をいただきながら、質疑応答を通してその可能性について議論しました。

◆移動キッチン(キッチンカー)研究会開催について

ケルククラブ顧問/研究会コーディネーター
株式会社新産業文化創出研究会 所長 廣常 啓一氏

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本日はまず私の方で研究会のしくみや進め方をご説明し、講師お二人に話題提供をいただきながら移動キッチンカーのビジネスの可能性について議論できればと考えています。

ケルククラブでは、昨年から「儲かるケルククラブになろう」ということで、できる限り皆さんのお役に立つテーマを選び、研究会を開催しています。

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研究会は、緑の部分で示すどなたでも参加できるオープンなもの、赤色で示すクローズドな活動の二つで構成されています。

図2

ケルククラブ活動を俯瞰してみますと、研究会(ピンク部分)のほか、黄色い部分で示しているスチームコンベクションの使い方や省エネの勉強など、研修や学習活動も以前通り開催しています。進め方としては、最初に、ホームページやfacebookでセミナーなどの情報発信をします。昨年は「女性と子供の心を掴むフードサービスマーケティング研究会」として、具体的なビジネスとなるようなチームを作りました。その中には「キャラクターワーキング」として、キャラクター店舗の可能性とアライアンスの可能性を探っています。

今年の重点項目として「移動キッチンカー」を挙げていますが、研究会にまで至らないものでもセミナーや情報発信などはしていきます。アンケートやご意見、ご要望をいただけば、研究会として本格的に進めていきます。

本日の本題である移動キッチンカーについてですが、「キッチンカー」と言えば行商や屋台の類を思い浮かべる方も多いと思いますが、その範囲でとらえると法的にもコンプライアンス的にも様々な不具合が出てきます。一昨日、東京都の都条例では、お弁当の路上販売の実態を調べ、衛生管理、コンプライアンスの問題に対応できる新しいルール作りのための検討委員会が発足しました。福岡では、最初は屋台禁止に動いていましたが、観光にダメージを受けたことから警察なども入り、安全基準、道路使用上のルール作り、インフラ整備(電気)を行い、今では公的な屋台村に変わりました。

屋台にタイヤをつけたものがキッチンカーとなりますが、今はガソリンタンクの上で、直火で焼き芋を作ったりしており、非常に危険です。公道を使って販売する場合、駐車禁止や停車禁止などで行えば違法行為ともなります。

研究会では、保健所や警察への届出、販売場所、どんな種類の飲食販売が可能か、販売場所のインフラとしては何が必要か、などを検討していきます。インフラは、最近では大手のビル、防災時における緊急避難場所の整備でも検討されるようになってきていますし、これからお話しいただく富士産業さんのように病院が被害を受けた場合の給食配給車を使用する場合にも、そこに電源や水道のインフラなどが必要になります。屋台が集まるような場所ではトイレカー、汚水カーなども必要ですし、ビル側もそれに併せて更に整備されていくでしょう。利用者の屋台や移動販売者に対する抵抗もほぼなくなっています。

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これらのキッチンカーのビジネスとしては、屋台を利用したフードサービスの実現と、そのための車両、厨房、エネルギーの供給システムを新しく考えなおし、市場を創ることも可能となります。展開場所の整備、ユーザー側からの情報システム構築もあります。

不動産の活用から考えると、お昼の一時間のためにレストランを取りそろえるのではなく、オフィス利用させることができます。また、災害基本法には避難や帰宅難民対策のために供給システムを作るように謳われているので、地方自治体などは外食産業やキッチンカーと提携することに今後ますますメリットを感じるようになるのではないかと思います。

衛生、安全面に関しても、今後明快に確立していく必要があります。ビジネスとして成立する業態、メニューの検討に加え、高齢者向け配食配膳や防災時を含めた社会貢献、イベント時などの宣伝活動も可能となります。

図3

この研究会を作るにあたって、厚生労働省、農林水産省などとも協議に入っています。電柱から200ボルト電源をひくこと、移動キッチンカーの電気自動車化など、こちらで示すような様々な部会も作って行きます。

本日の話を通して、新しい厨房の技術、新しい電気の供給方法、新しい業態、新しい設置場所などを紹介していくことができるようなチャンスをケルククラブで作ることができればと思っております。

◆キッチンカー製造の現場から
株式会社ゼック 代表取締役社長 永井祐城氏

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弊社では石川県で移動キッチンカーの製造販売をしています。キャンピングカーの製造販売を行っていたところ、平成16年頃から「キャンピングカーのベースを移動販売カーに使いたい」という要望に応えるようになり、現在では多種多様な移動販売車の制作を行っています。

ゼックでは、オーダーメイドでたこやき、カフェ、お弁当、カレー、パンなど、様々な食品の販売カーを制作してきました。最近では農家が直営する移動販売車や、中華餃子やおだんご、ハンバーガーなど、それぞれの事業者さんがオリジナルな企画で移動販売車に挑戦されています。このような形で、微力ながら第一次産業や地域活性化のお手伝いをさせていただいています。

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移動ビジネスという観点から言えば、商品展示車、移動事務室車、移動マッサージカーなどにも使われており、ビジネスとしての可能性を広げることもできます。

これから力を入れていきたい分野は、地方の高齢化対策、買い物難民対策として、移動スーパーや移動コンビニがあります。ネット販売などの手段もありますが、コミュニケーションをとることのできる移動スーパーがこれからは大切になるのではないかと思っています。これらには、「騒音」や「排気ガス」の問題があります。私どももソーラーパネルやサブバッテリー搭載の仕様車も作っていますが、天候に左右されますので、インフラとして電源をとれる整備がされていれば尚良いのではないかと思っています。

これからは、キッチンカーが大切な役割を果たすことになります。キッチンカーとは、厨房の中に何名かのシェフがおり、料理を提供できる専用の装備を搭載したもの、ということになります。特殊用途自動車のカテゴリーでは8トン車を中型免許で、5トンまでなら普通免許で運転可能です。

キッチンカーは、加工車の条件、保健所の条件の二つをクリアする必要があります。加工車は、道具収納、照明、動線、出入り口、車検などの規定があります。保健所からは、運転席と厨房の区別、シンク、洗剤、手洗い設備、給水・排水タンク、ゴミ箱、電源、温度計などの規定があり、シンクや給排水タンクなどは地方によって異なります。制作側としては、この二つの全国統一を待ち望んでいます。

図8図10

キッチンカーの制作までの流れは、お客様の要望を聞き、内容を詰めていき、制作にとりかかります。フレーム、ボディーの順で作って行きます。納品までは1か月半~2か月半。厨房設備は料理によって規模も価格も様々です。キッチンカーの多くが電源確保やコスト削減のため、100ボルト機器、ガス仕様が多くを占めています。しかしガス事故などを防ぐためにガスボンベ新規契約の規制も厳しくなり、入手に苦労されているのが現状です。日本全国に200V電源供給できるインフラ整備ができれば、発電機なども必要なくなるのでその問題は解決されるのではないかと思っています。

図11図12

これからも色々な自然災害が起こる可能性があります。東日本大震災でも電気の復旧が一番早かったと言いますが、キッチンカーと電源があれば、暖かい食事の供給、飲料水の供給も早い段階で可能になります。バイオトイレ(微生物利用)の設置も併せれば効果があります。全国からキッチンカーの応援なども出動されるようになれば、最悪の状況の中でも災害対策としては効果を発揮します。

イベント会場は全国でもたくさんあり、多くの人が集まるので、平常時はキッチンカーをそのような場所で使用することができます。キッチンカー、電源カー、バイオトイレを設置していれば災害時の予備練習ともなります。非常食の備蓄、その備蓄の賞味期限前のイベント等での消費なども併せて行えば、社会の意識向上やおいしくて栄養バランスの良い非常食の開発などへもつながることでしょう。食糧不足に悩む世界に向けて、それらを販売することなども可能になります。

図13

<詳細はこちらのビデオからご覧ください>

◆キッチンカー事業に取りくむフードサービス産業界から
富士産業株式会社 サービスディレクター課 課長補佐  鈴木宏人 氏 (栄養士)

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<鈴木氏からは、はじめにDVDによる同社のキッチンカーの紹介がありました。>
※(詳細説明はビデオよりごらんください。)

当社では独自の緊急時支援対応としてキッチンッカーを開発、改良してきました。キッチンカーは災害時の食事支援ができる「緊急厨房システム」です。災害支援以外では、お得意先の厨房改修時の仮厨房として使用しています。

図14

車両は5台用意されています。1号車から3号車までは荷台を改造した厨房となっています。

図15

1号車は4トン車をベースとしてガスと電気の併用しており、自家発電機も搭載しているので電源が確保できない場合でも電気の供給が可能です。

2号車は8トン車をベースとして1号車同様ガスと電気併用で、発電機を搭載しています。厨房が広く、300食を超える食対応も可能です。

3号車は6トン車ベースで、オール電化仕様です。東日本大震災では電気の復旧が一番早かったことを教訓に電気仕様で開発されました。

電源車はオール電化車両とセットで用意されました。自然災害などでライフラインがストップした時や施設の電気工事などで電気がストップした時などにも活躍します。

盛付車は、調理後の盛り付けスペースとして使用されます。配送や食品の一時的な保管などに使われます。

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1号車から3号車までは冷蔵庫、冷凍庫、スチームコンベクション、炊飯器などを搭載しています。移動車両としての振動などにも対応し、乗り降りしやすいように昇降機がついています。

調理車両、電源車両、盛り付け車両を連結することにより、セントラルキッチン(緊急厨房システム)を実現します。

キッチンカーの対応食数としては、1台であれば50食~300食、5台連結すればおにぎり+汁物で3000食、お弁当や定食であれば300~1000食の対応が可能です。

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キッチンカーの運転席部分にはモニターとマイクが設置されており、管理スペースとなっています。

キッチンカーは、特許を取得しています。「完全調理車両」「緊急厨房」の商標登録も行っており、認可を受けています。

また、全て緊急通行届出書を事前に届け出ており、災害時に優先的に通行が可能となっています。東日本大震災でも届出をしていたためにいち早く高速道路を通行することができました。

図18

<詳細はこちらのビデオからご覧ください>

◆<対談+質疑応答>移動キッチンカーから見えてくるビジネスチャンスの拡大

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講演をしていただいた株式会社ゼックの永井氏、富士産業株式会社の鈴木氏、ファシリテーターとして株式会社新産業文化創出研究所の廣常氏3者と、会場の皆様との間で、質疑応答が実施されました。

「最初の屋台や行商のイメージから離れ、ビジネスの可能性や社会に対しての貢献度というのが見えてきたのではないかと思います」という廣常氏の言葉を皮切りに、会場からは様々な質問やご意見をいただくことができました。

大量調理が必要な場合の食材供給の方法、キッチンカーを稼働させるにあたっての必要な認可、移動して使う場合の地域ごとの認可の取得について、通常時の使用方法、現状の電気の需給方法、装備内容、道路使用について、キッチンカーにはどのようなメリットがあるか、市ごとのソフト面での対応、50Hzと60Hzの変換など。

<詳細はこちらのビデオからご覧ください>