◆セミナー実施報告◆ 12月20日『ドクターズキッチン研究会』セミナー ~順天堂大学大学院 加齢制御医学講座 教授 白澤卓二氏/(独)理化学研究所 分子イメージング科学研究センター センター長/大阪市立大学大学院 医学研究科 教授 渡辺恭良氏

2013年3月25日

12月20日、大阪大学中之島センターにおいて「ケルククラブ」「公益財団法人大阪市都市型産業振興センター」合同企画として『ドクターズキッチン研究会』セミナーが開催され、多くの方にご参加いただきましたのでご報告いたします。

◆『食とアンチエイジング ~求められるフードサービス産業界でのアンチエイジング食』
講師:順天堂大学大学院 加齢制御医学講座 教授 白澤卓二氏

(前半では基本的なアンチエイジングの考え方、後半で食からのアプローチという観点からお話しいただきました。)

寿命をコントロールしたり、病気を発症する遺伝子について長年研究してきましたが、その中に長寿遺伝子というものがあることがわかってきました。誰でも長寿遺伝子を持っていますが、長寿な人はその遺伝子がONになっているということも分かってきました。では長寿遺伝子をONにするためには何が大切でしょうか。世界一長寿だった方からのインタビューでは、予防医学が長寿の秘訣であると結論づけていたことがわかりました。若い頃からの介護予防のことまで念頭にいれることが大切です。つまり、介護のいらない状態、自分の足で歩き、頭で考えることができる(認知機能)ということです。

100歳で8割の方が寝たきりになりますが、寝たきりにならない方を「エイジングに成功したグループ」と言っていますが、食から考えてどのような方が成功者となっているのでしょうか。

問題は食べ方にあると考えられます。
①朝食を食べる事
②食べる順番
③食べる量(カロリー制限)
④噛むこと

詳細は映像にてご覧ください ⇒ http://kelcclub.jp/?p=2762

◆トークセッション(白澤卓二先生×廣常啓一氏)・質疑応答

(廣常氏)食に関わる業界に対して、科学的根拠に基づくメニュー、食材を使ってビジネスにしたい、もしくはどのような商品を作ればよいかなどについてのアドバイスをいただけますか。

(白澤氏)
食育基本法が国民に浸透していないですが、国民の健康のための構造から変えていく必要があると思います。食事の機能(健康になって病気にならない)を知らせることが大切で、外食産業もおいしさばかりでなく、健康に気を配っているのだという予防医学の位置づけをするところから始めることが大切であると考えています。その基礎の上に、機能性の成分や、それを担保するための方法などがあるべきだと思っています。

(廣常氏)
外食産業の方も、社会の健康を預かるお医者さんのようなミッションを抱えているということに近いということでしょうか。

(白澤氏)国民の健康を自分たちが守っているのだという自覚が大切であり、それに従って食物の値段なども決まってくるべきだと思います。将来の医療費の削減ともなるわけですから。

詳細は映像にてご覧ください ⇒ http://kelcclub.jp/?p=2765

 

◆『食とアンチファティーグ(抗疲労) ~フードサービス産業界への期待~ 』
講師:(独)理化学研究所 分子イメージング科学研究センター センター長/大阪市立大学大学院 医学研究科 教授 渡辺恭良氏

疲労とは、研究上では、作業効率の低下状態として定義されています。「休め」という生体警報であったり、ストレスの重積や多数の病気の下地(未病)であったり、また多くの疾患でみられる症状の一つとも言えます。

疲労に関して様々な研究がなされてきましたが、その成果として、疲労の定量化におけるバイオマーカーの樹立、つまり疲労度を計れるようになりました。また、新しくわかってきたことも多くあります。乳酸が疲労の原因物質ではないということもその一つです。根本的なメカニズムがわかってきています。オーバーワークとなると疲労を還元する処理が間に合わず、さびつきが細胞の中に残ります。十分なATPを作ることができれば元通りに回復しますし、十分に作れない場合は様々な現象が生じます。痛みなどのファティーグファクターや復元力の因子なども分かってきています。

大阪産業創造館・三菱UFJ R&C推計によると、抗疲労・癒し市場は2020年には12兆円のマーケット、世界市場60兆円となり、日本製品で席巻していきたいという目標を持っています。食に関するプロジェクトも行われており、疲労感の低減、パフォーマンスの低下を軽減するものとしてイミダゾールペプチドや還元型コエンザイムQ10などの抗疲労効果の検証も行われ、食品開発も可能であると思われます。ビジネス支援をしながら具体的に解決していければと考えています。

詳細は映像にてご覧ください ⇒ http://kelcclub.jp/?p=2768

◆  トークセッション(渡辺恭良先生×廣常啓一氏)・質疑応答

(廣常氏)疲労と食を合わせた食品開発している事例、メニューの産業化に関われた事例などはありますでしょうか?

(渡辺氏)大阪市と一緒に行っていた阪急阪神百貨店でのメニュー作りや駅ナカコンビニでお弁当やサラダ、スイーツなどに関わりました。大阪市立大学大学院に疲労度を簡単に計測できるものも作りました。

(廣常氏)大阪市立大学のCOE疲労クリニカルセンターで外来の方に対して食事指導や疲労に対応する食事の提供などは進んでいらっしゃるのですか?

(渡辺氏)クリニカルトライアルは始まっていますが、まだ今からというところです。大阪市立大学医学部付属病院のレストランでは抗疲労のランチメニューの提供をおこなっています。

(廣常氏)大阪市役所の食堂の時は、実際に食べた方からの生の声を聞くことができましたか?

(渡辺氏)残念ながらその時は聞くことができませんでしたが、どちらにしろ毎日違ったメニューなどで食べ続けていかないと実感もでてこないのかもしれません。

(廣常氏)今後、レストランやコンビニなど、様々なところで食事提供のリレーができてくれば良いですね。

(渡辺氏)長く続けることが大切で、そのためには目先を変えられるような選択肢があると良いと思います。そのような仕組みを作っていくことが大切だと思います。

(廣常氏)企業なども知的生産性の低下を予防するために、組織をあげて食を推奨してくれるようなシナジーのあるものも作れるのではないでしょうか?

(渡辺氏)実験的に研究したいという企業も実際にあります。

(廣常氏)生産性の上がることを武器にしている飲食店がビルに入ると、そのような店が今後は繁盛していくというようなことも起こり得ますね。そのようなメニューを作るために色々な方との連携した実験チームなどを作っていく可能性はありますか

(渡辺氏)十分あります。

詳細は映像にてご覧ください ⇒ http://kelcclub.jp/?p=2772

◆『アンチエイジング食、アンチファティーグ食におけるビジネス化』
講師:公益財団法人大阪市都市型産業振興センター 新産業創造推進室  西前綾子氏

抗疲労のプロジェクトに関する紹介をいたします

疲れ知らずの元気な大阪ということで、抗疲労食で科学的根拠に基づいた機能的な価値づくりを企業と共に行っています。抗疲労の市場は、国民の70% 近くの方が疲労を感じており、また大阪市立大学を中心に抗疲労研究が世界をリードしていることもあり、今後も大きく伸びると予測されています。

<プロジェクトの推移>
・大阪市立大学 21世紀COEプログラムの公開シンポジウム中 ランチとディナーの提供
・大阪市役所の地下食堂 700円ランチの提供
・丸善出版「抗疲労食」の出版 (著者:渡辺恭良先生ほか)
・大阪産業創造館  「おいしく元気に疲労回復!」レシピ開発プロジェクトのレシピコンテストから、阪急阪神百貨店、コンビニスストア・アズナスなどでのお弁当やお惣菜の商品化と販売(非常に売り上げが良い)

今後、第一次産業、二次産業、三次産業と共に地域モデルを企業と共に作っていきたいと思っています。

現在、渡辺先生を中心に食の研究のプロの方々と共に抗疲労食のガイドを作っていただいています。どのような栄養成分を含んだ食材をどの程度摂れば良 いかという基準を作っています。スーパーや店舗、社員食堂、ドクターズキッチンなどでガイドを活用し、抗疲労メニューの効果の測定など、産官学連携の モデル事業を推進していきたいと考えています。

詳細は映像にてご覧ください ⇒ http://kelcclub.jp/?p=2775

◆『アンチエイジング食、アンチファティーグ食におけるビジネス化』
講師:株式会社新産業文化創出研究所 所長 廣常啓一氏

ケルククラブで行っている様々な研究会の中に、ドクターズキッチン研究会、女性と子供の心を掴むフードサービスマーケティング研究会などがあります。これはビジネスのための研究会で、女性と子供の心を掴むフードサービスマーケティング研究会では、アニメーションの業界団体である日本動画協会などと連携して進めています。

本日のようなセミナーを聞いてビジネスをやってみたいと思う方はワーキングに参加していただき、その中から研究会、プロジェクト化、そして事業化へと進めていきます。最初はどなたにでもご参加いただけるようにオープンで行い、途中からクローズドへと移行します。

ドクターズキッチンでは、本日の先生方のような研究者、医師による科学的根拠に基づき、栄養士と献立をたて、おいしく作るプロの料理人とコラボをしていきます。そこに、機能性食材や食品をマッチングします。その研究成果を、病院の食事の処方箋で食べにいけるような外食産業などのフードサービス産業、更にデリバリーや地域配膳会社、美味しく健康的なものを作れる調理器具や厨房機器、あるいは生産者、栄養を保持する加工、栄養指導できる職場、病院、介護施設、薬剤師との連携でビジネスの出口を作っていきます。

詳細は映像にてご覧ください ⇒ http://kelcclub.jp/?p=2758