食材の科学的根拠を求めるための世界標準データベース

2013年2月22日

~ドクターズキッチン構想における提供食事の根拠やその表現、また薬やサプリメントとの取り合せ表示の課題解決のために~

近年の健康ブームにより、疾病の治癒や改善を謳ったり、予防を目的としたいわゆる「健康食品」と言われるものがたくさん販売されるようになりました。これらは実際に不足している栄養素を補給したり、健康維持に用いられている一方で、薬事法や医師法などによりその効果効能を広告に記載したり明示することを禁止されています。

外食産業においても今後益々ヘルシーな食事が望まれるようになりますが、現段階では科学的根拠に乏しいものが出回っていたり、効果効能を明示することもできなかったり、という状況です。近年では食事とサプリメントの取り合わせの問題なども指摘されるようになりました。

食品や食事、サプリメントを摂取する側には、健康被害が生じないことや、関係する法に抵触していないことが確認できるものが必要となります。そのソリューションの一つとして活用可能なものに、NMDB(ナチュラルメディシン・データベース)があります。食を通じた健康管理から予防医学の分野で、薬膳、食事療法、治療食、改善食、介護福祉食、健康食、機能食、食育などについての科学的根拠を、世界標準とも言える健康食品の食材・成分のデータベース『NMDB』に求めることができます。

 

医療費増大への対策となる、科学的根拠(ヒト臨床試験)の集大成『NMDB』

世界の潮流として増え続ける医療費にどのように立ち向かえば良いのかについて、欧米の厚生行政では、この20年間に2500億円もの巨費を投じて、生活習慣病を主とする疾患の罹患率を下げるべく、科学的根拠を、ヒト臨床試験に求めています。学術機関などが、世界標準レベルの無作為化比較試験を中心とする臨床試験を行い、食材、成分などの有効性、安全性、そして他の療法との相互作用に関して科学的根拠を積み上げています。

その集大成として、FDAの補助金も受け、米国を本拠として作られているのが『NMDB(ナチュラルメディシン・データベース)』です。このNMDBは、多くの医療機関、大学、医薬品会社、食品関連会社が採用しているのみならず、各団体のスポンサーシップにより、一般の人向けには簡易版データベースが公開され、広く普及しています。また、世界最大の医療保険会社では、膨大な予算を毎年使って1900万人の被保険者にNMDBを公開したことにより、被保険者が健康維持に活用し、結果として保険料の節減に成功しているのです。

米国版NMDB

 

約1100のナチュラルメディシンの安全性、有効性が明示される日本対応版

現在、日本では日本医師会、日本薬剤師会、日本歯科医師会の総監修で、NMDB日本対応版が出版され、様々な生活習慣病学会、栄養関連学会からも推薦されており、健康食品のガイドラインともなっています。日本医師会では、17万人の会員全員がこの日本対応版データベースを閲覧できます。

NMDB日本対応版では、約1100ものナチュラルメディシン(理解しやすいように、「natural medicine」を「健康食品・サプリメント」と訳しています)となりうる食材(例:トマト;「前立腺がんのリスクを減らす」など)や成分(例:コンドロイチン硫酸;「経口摂取による関節炎の痛みの軽減」など)について、6段階評価の有効性、4段階評価の安全性、3段階評価の医薬品との相互作用や、作用機序、投与量の目安、さらに付録として医薬品の栄養低減作用とその対処法などを網羅しています。

 

日本での健康食品商品の安全性や品質を第三者の立場で評価する認証制度

20年以上かけて精査され、毎日100名のリサーチャーが調査・アップデートしてきたNMDBに、日本からの情報を米国本国の編集委員会に報告することにより、日本特有の食材・成分についても、この7年間に70以上の項目が追加されています。

このNMDBを利用して、米国では8万ものブランド食材を含めた健康食品商品をランク付けしていますが、日本でも2年前から同様のクライテリアで審査する商品の認証制度が、第三者機関である一般社団法人日本健康食品・サプリメント情報センターにより始まっています。それが「ハイクオリティ認証」と呼ばれる安全性、品質を第三者の立場で評価する認証であり、認証取得商品は本国のデータベースにも掲載され、商品の配合素材、含有成分から、有効性、安全性などの情報へリンクされています。

今後、日本のブランド食材や料理についても、健康食品やサプリメントとともに世界に向けて発信できるツールとして、ハイクオリティ認証制度が使われることを願っております。

 

食を通じた健康管理から予防医学の分野での応用

近年の健康ブームにより、食を通した健康管理や予防医学が求められる時代になりました。しかし、先にも触れたように、薬事法や医師法などの様々な法律により、現状ではその効能や安全性を消費者に正しく伝えることが、適切にできていないと考えています。

たとえば前述のハイクオリティ認証制度では、認証を取得できた商品に表示されたハイクオリティ認証マークから、QRコードを通して、NMDBに基づいた情報が表示されている商品ホームページへアクセスすることができ、その安全性や相互作用を確かめることが可能となっています。

今後、あらゆる用途の食事(薬膳、食事療法、治療食、改善食、介護福祉食、健康食、機能食、食育まで)の科学的根拠を世界標準データベースであるNMDBに求め、それを活用することが、食を通じた健康管理や予防医学の推進の一助となるのではないでしょうか。これからも加熱するであろう健康ブームに対応するデータベースとして、NMDBが今後益々活用されることを期待しています。

記事協力:

一般社団法人 日本健康食品・サプリメント情報センター(JAHFIC)理事/株式会社同文書院 代表取締役 宇野文博氏

(プロフィール)
慶應義塾大学法学部卒。89年、ニューヨーク大学大学院修士卒。日本健康指導支援機構理事。自然科学書協会幹事。(株)同文書院 代表取締役。一般社団法人 日本健康食品・サプリメント情報センター理事として、ハイクオリティ認証制度の普及に努める。